巨樹ツアー 第4回「戸隠神社奥社の杉並木、壮大なデザイン」

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巨樹ツアー 第4回「戸隠神社奥社の杉並木、壮大なデザイン」

聖地とは何なのか? そこが聖地と見なされるには、何かしらの客観的な理由がある。それは単に「自然のまま」だけでは、そうはならない。戸隠。ここは大自然の真っ只中でありながら、人間の手心が壮大なスケールで混じり合った異空間である。かの有名な杉並木をあらためて、見る!

500mの巨樹並木


タイトルの通りです。
巨樹ツアー第4回目にして初となる、メジャー級スポットを訪ねてきました。
長野県の戸隠です。

戸隠といえば、修験道の一大拠点で、戸隠流の忍術が作られた土地です。
今でこそ、全国どこもかしこも舗装道路でおおわれ、僕たちは排気ガスを撒き散らしながらオートモビルを使って無粋に移動をしていますが、もともとは人が入るのもままならない土地だったのでしょう。

そんな戸隠に、壮大なスケールの巨樹林があります。

これです。

戸隠神社奥社の杉並木です。

ずらずらと写真を並べてみます。

違う惑星みたいです。

こんな化け物みたいな杉並木が、およそ500m続きます。

すべて樹齢400年


ちなみにこれらの杉の大木はすべて樹齢400年です。
つまり江戸時代、1612年に植林されてできた並木です。

長野県天然記念物 戸隠神社奥社社叢

慶長17(1612)年に幕府より千石の朱印地を拝領した戸隠神社は、奥社を中心に坊を集め、参道には植樹して杉並木をつくり、一山の威容を整えた。随神門から約500mにわたって、当時に植えられた約200本のクマスギの並木がつづいている。

宿場町のような森


ちなみに参道の全長はこの杉並木の4倍ほどあり、お参りして帰ってくるまで往復で4km歩くことになります。覚悟して行ってくださいね(駐車料金もけっこうとられますので)。

随神門、これです。

このわっさわっさした屋根、いいですね。


この随神門の少し手前あたりから杉並木が始まりますが、杉並木が始まる前の参道の雰囲気も、いい。

これです。

石畳でもない砂利道で、両脇に小川を流しています。
こういう心遣いに、僕は少しだけ街の匂いを感じます。宿場町の作りですね。

ここは完全に森、自然の中にある。
同時に、杉並木といい、小川を流した参道の作りといい、400年前の人間が壮大なスケールのなかでなした人工的なデザイン空間でもある。

戸隠神社の一種、異様ともいえるこの空気感は、ただの自然そのもののすごさだけではない、江戸時代の人たちがそうした自然との関わりの中で作り出したデザイン=文化の中から生まれています。

構想スケールを超脱する


おそらく当時の人たちは、杉が育ち巨樹化していくことをも想定してこの空間を設計したと思います。

…そして今、現実は、その構想スケールすら超えつつあります。

これです。

根元がずいぶんなことになってます。

繋がってしまってます。

当時の構想による植林間隔では、狭すぎたんでしょうね。


それに対して杉という植物は、その構想スケールを突き破るように、限界を超えてもどんどん己を拡張させていってる。すばらしい。。。

まだほかにも、いろいろすごいです。

これもすごいです。

もはやどこかまでが木で、どこからが石なのかすらわからないです。


そしてこれ。
なくなってしまった巨樹の跡。

これは古代の風呂場の遺構でしょう。。。
完全に遺跡化してます。


あとこれがすごかったです。

根元にうろがあったがために、この杉1つで聖地化を果たしています。


しかし石の置き方、雑だな。。。

雑すぎるだろ。。。

うーん。。。なんて雑なんだ。。。


あらためて全容を。

リスペクト!

データ:戸隠神社奥社の杉並木


巨樹度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
幹周:3.0m 〜 5.2m
樹高:30m前後?
樹齢:400年
住所:〒381-4101 長野県長野市戸隠奥社
アクセス:長野駅7番乗り場(川中島バス長野駅前総合案内所前)から「バードライン経由戸隠高原行き」に乗り約1時間、「奥社」下車。/上信越自動車道「長野IC」から車約1時間、同「信濃町IC」から車約30分。

この記事のライター WRITER

岩田和憲

グラフィックデザイナー。言葉と写真もデザインも同じものとして扱っています。元新聞記者。元カメラマン。岐阜県出身。 https://www.iwata-design.com/