巨樹ツアー 第2回「麻賀多神社の大杉、でかすぎて上が見えない」

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巨樹ツアー 第2回「麻賀多神社の大杉、でかすぎて上が見えない」

大和時代から生えているという、モンスター級の杉。杉としては東日本一と言われるその威容は、これでもかといわんばかりの看板の森を抜けたところに現れる。高さ40m。でかすぎて上が見えないぞ…

異空間、北総。


千葉県の北東部、北総。
なかでも印西市松虫地区から成田、香取、銚子にいたるまで、この一帯はどこか変です。

利根川では牛が水浴びをし、「魂生大明神」と称した日本最大のペニス模型が奉られていたり、宝船のパラダイスみたいな公園があったり(宝船の正体は死者の船である)、電線による経済と引き換えに江戸では放棄された山車まつりを今も盛んにやってたり、やたら古墳が多かったり、どこか違う空気が漂っています。

僕はひそかに、北総地区の印西市より西側一帯を「広域聖地」と呼んでいるのですが、今日はその一端をご紹介したいと思います。

今回、僕が向かうのは、その広域聖地の入り口付近、成田市台方にある麻賀多神社です。

18社ある「麻賀多十八社」の総本社といわれながら、知名度はかなり微妙で、鳥居前に廃墟と化した土産屋が一つだけあるという、おすすめの観光スポットです。

このグッとくる感じ…

そこに東日本一大きいといわれる、杉の巨樹があります。
推定樹齢1400年。
大和時代から生えてたというヌシです。

いざ接近


田園風景を抜け、

日本の湖沼汚染ランキング1位を誇る、印旛沼の美しい景色を抜け、

うなぎまみれの道を走っていくと、

到着です。


1700年前、伊都許利命(イツコリノミコト)という人が開いた神社だそうで、ここが本社。西へ1km行くと大伴家持が寄進したという大鳥居があり、北へ1km行くと船形社の奥宮。

なかなかのホーリースケールです。

看板

さっそくこの看板です。

「太さ約9m 高さ40m余り 東日本一大杉 御神木」
ちなみに別の看板には、太さ(幹周り)10mと書いてありました。

そしてこの看板。

「この地域は、麻賀多神社と超林寺及びその周辺地域からなり、神社周辺は、スダジイ、アカガシの巨木が生育し…」

やはりここも巨樹林化してるみたいです。

さらにこの看板。

この状況で、樹木の下を避けるのは無理だろ…。
山道を走っているときに見る「落石注意の看板」と同じ、もやもやを感じます。

しかし、看板多いな…。

背、低!

なんでもいい、看板、多すぎだろ…。

多すぎ…おおすぎ…ん? まさか…大杉…か?

巨樹登場


そして、、
じゃじゃーん。登場です。

延命長寿のご利益があるということで、賽銭箱もしっかり設置してあります。

ライトアップまでするみたいです。

いい! リスペクト!

でかすぎて先端が見えないです。

通称、公津の大杉(こうづのおおすぎ)といいます。
千葉県の指定記念樹第一号だそうです。
今のような巨樹ブームが起きるずっと以前、昭和10年に指定されています。

推定樹齢1400年。
推古天皇の時代に植樹された木だそうです。

推古天皇…。

弘法大師やヤマトタケルノミコトと並ぶこのマジックワードが出てきた時点で、事実かどうかを問うのはやめ、「この凄さからして、なんか、それくらいな感じ」的な理解になるのは、いかんともしがたいです。

お姉さんと巨樹。いい…。

あらためて、全容を。

リスペクト!

データ:麻賀多神社の大杉

巨樹度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
幹周:9m(10mの表記もあり)
樹高:40m
樹齢:1400年
住所:千葉県成田市台方1
アクセス:
京成線 公津の杜駅下車 タクシー(約10分)
京成線 公津の杜駅下車 成田市コミュニティバス北須賀ルート(甚兵衛渡し方面)麻賀多神社前下車

この記事のライター WRITER

岩田和憲

グラフィックデザイナー。言葉と写真もデザインも同じものとして扱っています。元新聞記者。元カメラマン。岐阜県出身。 https://www.iwata-design.com/