そうだ。NIPPONIAに泊まりに行こう! vol.2「とけこむように泊まる」
そうだ。NIPPONIAに泊まりに行こう! vol.2「とけこむように泊まる」
今回は兵庫県篠山市にある篠山城下町ホテルNIPPONIAを訪れました。古民家を改装した宿泊施設は、城下町全体に点在する5棟で一つのホテル。「400年の歴史に、とけこむように泊まる」新しいライフスタイルの宿泊体験でした。
目次
NIPPONIAって
今回の宿泊先、篠山城下町ホテルNIPPONIA。NIPPONIAは各地に点在する古民家を、その歴史性を尊重しながら宿泊施設や飲食店、店舗としてリノベーションし、複合宿泊施設として再生していく取り組みのこと。
この篠山城下町に5つの宿泊棟が点在し、城下町全体をひとつのホテルとしているもの。とても斬新ですよね。宿泊棟となっている古民家はいずれもこれまでの考え方では、資産価値がないとされ、改装資金の調達が困難であった物件でした。しかし古民家再生における新しい投融資の仕組みを造り、またホテル事業が関西圏国家戦略特区の特区事業に認定されたことから、複数の分散した古民家の宿を1箇所の受付で管理・運営する旅館業法の特例適用や建築基準法の緩和も可能となり、古民家等の歴史的建造物の再生・活用を軸とした地方再生が実現されたとのことです。
地域の人々がこれまで築き上げてきた歴史や文化、暮らしを大切に受け継ぎ、新たな日本の宝を想像する取り組みとして運営されています。
今回宿泊するのは、ONAE(オナエ)棟とSAWASIRO(サワシロ)棟。さ、さっそく中に入ってみましょう。
ONAE棟
ホテルの受付とレストランがあるONAE棟。この建物は明治期に建てられ、かつては元銀行経営者の住居だったそう。古図によると建物は現状の約4倍、敷地は2倍もの広さがあったとされていますが、その後の土地や建物の譲渡や解体・崩壊などで消失し現在の規模となったと考えられています。
入口を入ると、ずっと奥まで土間が続いていました。今はリノベーションされとても綺麗になっています。
受付をするために、入口右手のお部屋へ案内されました。丁寧にNIPPONIAについてと、篠山城下町の散策について教えて下さいました。お茶菓子は丹波篠山の特産品、丹波の黒豆。
こちらはホテルのダイニングとなるレストランです。レストランは、宿泊されない方でも利用が可能です。
当時はここが台所。現在は消防法の関係で使用することはできませんがカマドや、滑車もそのまま残る井戸が、当時の姿のままに残っています。
台所を抜けると電話ボックスが。さすが銀行経営者のお屋敷ですね。今は使用できませんが年季の入った木の扉に歴史を感じます。
ONAE棟の101号室です。
玄関を抜けると二間続きのお部屋が。二方面がそれぞれ庭に面していて、とても開放感のあるお部屋でした。部屋の照明はこの篠山市で作られたものと伺いました。部屋の雰囲気ととてもマッチしています。
いたるところに歴史を感じさせるお洒落で粋な飾りが。
季節ごとに姿を変える庭の木々を愛でつつ、ゆっくりと腰掛けて過ごすことができる、贅沢なお部屋でした。
SAWASIRO棟
SAWASIRO棟はかつてお茶屋を営む店舗兼住宅でした。創建は江戸後期とされ、4棟の中でも最も古い建物だそう。通りに面している入口に「山里料理 まえ川」が店舗を構え、奥がホテルの宿泊棟となっています。
昔の家には必ず土間があるものなんですね。こちらの棟も奥まで長い土間が続いています。途中にはカマドがあり、高い天井の上にはいい色に燻された立派な梁がありました。
こちらがSAWASIRO棟201号室。
土間の脇のお部屋です。扉はガラス障子。鍵はかけられるようになっています。
今では見ることの少ない昔のガラス。至る所に模様の異なるガラスがありました。
こちらも二間のお部屋。テーブルの下は掘りごたつになっています。ONAE棟と違って、壁紙の色がとても渋くて部屋の雰囲気にとてもあっていました。
部屋から見える中庭です。贅沢にもこの201号室だけこの中庭を愛でることができます。独り占めなところがとても贅沢な気分になってしまいました。
中庭脇の廊下の先には水回りが。洗面所とお風呂、お手洗いがあります。部屋から出て廊下の先にあるお手洗い。寒い冬はきっと寒かっただろうなと想像してしまいました。
NIPPONIAのお風呂は、こちらの部屋以外はすべて現代のお風呂にリフォームされていますが、こちらの部屋のみ当時のままを残されているんだそうです。木の扉に木のお風呂。小さいながらも深さがたっぷりあるので、肩まで湯につかれ旅の疲れも吹っ飛びます。
幾度となく改修されてきたのでしょうか。ほぞの跡が歴史を感じます。
レストランでの夕食・朝食
夕食・朝食はONAE棟のレストランで頂きました。地産地消を愉しむ本格フレンチです。古くから丹波篠山は全国的にも名高い特産品が多く、まさにブランド食材の宝庫だそうです。目に見ても美しい、食べても美味しいお料理の数々でした。お料理の中からいくつかをご紹介。
まずは地ビールで乾杯!
地元野菜のガルグイユ。とてもきれいな色合いで目で楽しめるだけではなく、お野菜一つ一つの味が濃く美味しかったです。
川魚と地元山菜を用いた温製グリンピースのムースリーヌと共に。
丹波牛の香味焼き。美味しい!一言につきます。
こちらは朝食です。古民家の朝にピッタリな和定食です。お味噌汁が丹波の黒豆を使ったお味噌だそう。とても美味しくおかわりさせていただきました。
ふと、毎日の慌ただしい日常から離れ、江戸時代・明治時代にタイムスリップしてしまったかのような宿泊体験。そういえばテレビも置いてなかったな。携帯やパソコンとも少し離れて、心と身体を癒やす贅沢な時間となりました。