里山十帖に泊まる 前編 〜本当の贅沢について考える〜

ルポ
公開
5518 Views

里山十帖に泊まる 前編 〜本当の贅沢について考える〜

里山十帖をご存知でしょうか。2016年の週刊ダイヤモンド「百花繚乱 ニッポンのリゾート」特集で総合&満足度ランキング30の総合3位にランクインした新潟県南魚沼市の旅館。星のや軽井沢、二期倶楽部に続く、なんと第3位に。正直私、知りませんでした…。お米が美味しい季節だし、ぜひ行ってみましょうよ。

里山十帖って

 皆さま、「里山十帖」という名の旅館をご存知でしょうか。「里山十帖」は、2014年5月に雑誌「自遊人」を発行する株式会社自遊人がオープンさせた新潟県南魚沼市にある大沢山温泉の旅館です。
 魚沼というとまず思い出すのがお米、そして次にスキー場がたくさんある豪雪地帯ということくらい。知識の乏しい私ですが、どうやらこの旅館には本当の贅沢があるというのです。

 ウェブサイトには株式会社自遊人クリエイティブ・ディレクター岩佐氏が「ご挨拶に代えて」にこんなコメントをしています。
《旅館を始めたかったわけではありません。レストランを始めたかったわけでもありません。始めたかったのは、新たなインタラクティブ・メディアの枠組みをつくること。(抜粋)》
 横文字が苦手な私にはどのようなメディアかは分からないけれど、旅館もレストランも始めたかったわけではないという。
 え、そうなの? それなのに総合&満足度ランキングで3位ってすごくない?
 そして続きにはこんなコメントが。
《見る、嗅ぐ、聞く、感じる、眺める、座る、くつろぐ、食べる、飲む、寝る……。滞在中になにかひとつでもインスピレーションを感じていただければ、それはこの上ない幸せです。》と。

 旅館というと温泉と美味しいお料理、日々の喧騒から脱出してとにかくのんびり過ごしたいと思ってしまう私。当然ながらそこには旅館からのオモテナシも必須。どちらかと言うと「贅沢」には至れり尽くせりを期待してしまう。
 でも今回はちょっと違う。でも堅苦しく考えることはないみたい。なんでもいいから滞在中に一つでもインスピレーションを感じて欲しいっていうんだから、そういう気持ちを頭の片隅に置いて過ごしてみたいと思います。

 さ、前置きが堅苦しくなってしまったけど、気楽に里山十帖ルポいってみたいと思います。

無人駅に降り立った

 東京駅から上越新幹線で越後湯沢駅へ、越後湯沢駅から在来線へ乗り換えて10分。大沢駅で降り経ちました。東京駅からだと1時間40分程度であっという間に到着。
 越後湯沢駅は昔スノーボードにハマっていた頃に何度となく訪れた駅だけど、たった10分電車に乗るだけでこの駅は人気のない無人駅。
 あ、良かった…ちゃんとお迎えの方が来てくれてる。
 車で10分程度で里山十帖に到着です。

 
 旅館の軒先には収穫したての稲が干してあります。電車の車窓からは見たことあったけど、こんなに間近で見たのは初めて。たっぷり重量感のある稲穂。新米への期待が高まります。


 築150年の古民家を改装して作られた旅館は、この豪雪地帯ならではでとにかく立派な造り。150年もの間、この雪深いこの地で雪の重みに耐えてきたんですね。建物は総欅、総漆の古民家なんだとか。重厚な扉に期待が高まります。


 正面玄関を入ると、圧倒されるほどの吹き抜けが。と同時に視界に入ってくるのがこの木のアート。この旅館は世界を代表するデザイナーの家具や現代アートが多数置いてあり、アートを直に体験することも大切にしています。
 大きな木はたくさん見てきたけれど、こんな斬新な木のアートは初めて。ん?!


 ヨッコイショ!
 大きな木槌を小さな木彫りの人形が支えています。なんかチャーミングでついつい覗き込んでしまうアートです。この人形は神の使いなのか、前には収穫した稲が備えられていました。この巨大な木槌を小さな人形が支えてるんだから、やっぱり神の使いなのかも。とてつもないパワーを感じます。


 梁は本当に太くて見事です。燻され黒光りする梁が150年前の歴史を感じます。

館内を歩く


 館内を簡単にご紹介。
 エントランスホールには暖炉があり、優しく温かい空気に包まれています。冷え切った身体が温まります。


 エントランスホールの吹き抜けには、二階にラウンジが。にしても太い梁。すごいな。


 世界を代表するデザイナーの家具が所狭しに設置され、本を読むのもよし、語らうのもよし、ぼーっとするのもよしな空間となっています。簡単なお茶もいただけました。


 エントランスの隣りにあるのが御食事処。宿泊した日は、実は一流シェフとのコラボディナー開催日だったので、素敵なテーブルセッティングになっていました。こちらの天井も圧倒されるほどの高さと重厚感でした。


 宿泊棟にもラウンジが。宿泊者の方ものんびりラウンジで過ごされていました。


 廊下は木であったり畳で施されていたり。スリッパを置かない旅館なので、足でその感触を味合えます。


 そして今回宿泊したお部屋がこちら204号室。部屋にも素敵な家具が置いてあります。第一印象はシンプル。決して豪華ではないけれども、必要なものがちゃんと置いてあり、居心地の良さを感じました。


 お部屋には贅沢にも檜風呂があり、旅の疲れを癒やしてくれます。お風呂に浸かりなが見る景色も最高でした。この他にも2つの大浴場があり、そこが素晴らしいのなんのって言葉では言い表せません。ぜひウェブサイトでご確認ください!


 さて、夜はお楽しみの「ミシュランガイド東京」スターシェフ 目黒『ラッセ』村山太一シェフの料理を楽しむ会。テーマは「マンマの味と郷土の味。村山太一の源流を探る」。イタリアのマンマの味を大切にする村山シェフが、新潟・魚沼の素材で料理を振る舞いました。
 私はここで目を丸くするほどの感動をする訳ですが、その詳細は後編でご紹介します!

この記事のライター WRITER