南町田グランベリーパークインタビュー後編

インタビュー
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コミュニケーションの工夫…「まちライブラリー」

山上:それって、(市民参加のワークショップ)どういう風に設計されたんですか?集大成のようなものなのか、それとも今回のことをやるために何ヵ年計画的な感じですか?
久家:何ヵ年計画とかではなかったんですけれども、当初は結構試行錯誤しながら町田市さまや関係者と進めてまいりました。
後は、当社の中でもたまプラーザでワークショップをやってきたメンバーがいたので、知見をみんなで集めて、「こういうのでやってみようか」という、ちょっと不安もありながら始めたという感じが正直な所ですね。
山上:そういう、巻き込んでいくというか、他人事じゃなくて自分ごとにしていくみたいなところが重要ですね。今回のプロジェクトにおいてワークショップが肝だったという感じがとてもしました。
まち全体で色々な年代の方が関わり合いをもってコミュニケーションを取れるような工夫や取り組みをされている中で、その中の1つ図書館についてお聞きできますか?
小川:まちライブラリーですよね。あちらは地域の方のコミュニティー機能として運営されておりまして、こちらで本を選んで置きますというわけではなくて、地域の方が愛着のある本を持ち寄り、寄贈をしながら、地域の皆様で作り上げるライブラリーとなっています。
寄贈するときには、リコメンドのコメントなども添えたりしますので、コメントとコメントでも地域が繋がってくみたいな、そういうった意味では、本を介してはいますが、結果的には人と人がつながっているような場所です。
南町田グランベリーパークには、鶴間公園があって、グランベリーパークという商業施設があって、地域の方にも来街された方にもお楽しみ頂ける場所となっていますが、町田市さまのまちづくりへの思いとして、地域の方のコミュニティーの拠点となる場所をしっかり整備するという思いがありました。今回、まちライブラリーは、スヌーピーミュージアムに隣接する形で運営してしていることもありまして、スヌーピーに関する本も置いてありますので、地域の方のコミュニティ機能だけではなく、スヌーピーの歴史にも触れられる場にもなっています。
まちライブラリーは、鶴間公園で伐採した木を使ってライブラリーの中の什器を作ったりしています。入った瞬間に木の香りがして本当に居心地の良い空間です。そういった意味では、あの場所に行くだけでも地域に愛着が湧くような場所になっており、グランベリーパークの象徴的な場所の一つでもあると思っています。

山上:礒井さんですよね?まちライブラリー。私も注目していて、以前大町の山翠舎でも検討したことがあったのですが、断念しました。東急さんがいろいろな仕組みがある中で、なぜまちライブラリーを採択されたのかすごく知りたいです。
小川:まちライブラリーについては、町田市と共に検討を重ねた中で展開することを決めました。地域の方と開催したワークショップの中で本に触れあう場所がほしいという声があったんですよね。その地域の方の声を踏まえて、それを単純な本屋で良いのか?それよりも、本を切り口に地域の方も楽しめる居心地よく過ごせる空間、居場所の方が良いのではないか?ということを議論し、最終的にまちライブラリーを展開することにいたしました。
山上:まちライブラリーのアイデアがあって決定したんですね?
小川:地域の方のお声を具体的にどうやって実現するかを町田市さんと一緒になって考えた中で、礒井様が提唱されているまちライブラリーというものをあることを知り、礒井様にも直接お話を伺い協力頂きながら、今の南町田グランベリーパークのまちライブラリーを展開しております。

(提供元:町田市)                       © Peanuts Worldwide LLC

経済効果やこれからについて

山上:経済効果や人口増の予測などお聞かせください。
小川:開業したばかりですので、経済的なところは、現時点で具体的にお答えするのは難しいのですが、分かりやすいところでは、グランベリーパークの開業前の駅の乗降者数は、1日約3万人ぐらいでした。その乗降者数が開業日から最初の5日間は以前に比べて250%増となりましたので、そういった意味では電車を利用してこの街に訪れる方は以前に比べてかなり増えていますので、この点は大きな経済効果だったのではないかと思います。今は新型コロナウィルスの感染拡大の影響もあり、開業時のような状況ではありませんが、それでも以前に比べ、多くのお客様が電車で来場しています。
人口増という意味では、今後、周辺に数百戸のマンションが計画されていますので、これから3年後4年後にはお住まいの方がこのグランベリーパーク周辺には増えることが想定されています。
山上:五島慶太さんと一緒にヘリコプターに乗って街づくりを考えたという人に話を聞いたんですが、働いている方の消費が全部落ちるように設計をしたとお聞きし、すごいなーと思ってまして。40年ぐらい経ってやっと元がとれるみたいなお話も伺ったことがあり、先ほどの数年後にマンションができるというお話もそうですが、長期スパンの発想が改めてすごいと感じました。

働く人も快適な場所

山上:グランベリーパークで働く方も快適とのことですが、いかがでしょうか?
小川:そうですね…我々から言うのも手前みそな感じなのですが、グランベリーパークはオープンモールなので、休憩するにしても居心地よく過ごすことができる場所が多くあります。また内部的な話になりますが、施設内には従業員専用の休憩室が4つあり、休憩スペースも充実しています。バックヤードにあります従業員用のトイレの数にもかなりこだわり計画をしています。これだけ大きな施設ですので、多くの従業員の方がこの場に働いておりますので、トイレが混んでいて使えないということがないよう、従業員の皆様が困らないバックヤードをしっかり整備しております。またグランベリーパークは広大な施設ですので、従業員の方が休憩から店舗に戻るまでも時間が掛かってしまいます。この点にも配慮して、従業員休憩室の一部には従業員専用コンビニも設置しています。従業員の方が、その場ですぐ食べてゆっくり休憩してもらい、休憩時間にしっかりリフレッシュして店舗に戻ることができるよう留意しています。従業員の皆様の環境はかなり意識をして設計段階から工夫をしながらやっています。
久家:小川をはじめ開発当初から関わっているメンバーの中でも、建築の部隊と長く運営に携わって来たものの知見とか、こうした方がいいということを一つずつやってきているので、そういうことが働く方にとって少しでも価値になっていればいいなぁと思います。
ちょうど今日テナント従業員の方の話を伺う機会があったのですが、
公園側とか、働いていても、ふと見ると気持ちいい山が見えたりとかそういう環境がただ隣にあるというだけでだいぶリフレッシュできますという意見が聞けたので、立地自体もすごく恵まれてるんだなと思います。
山上:まさしく成功事例ですね。
小川:(笑)従業員を含め、お客様も皆さん居心地よく過ごしていただいていると感じております。
山上:小川さんはこれからほかの場所でも同じように環境についてアドバイスをされていくのでしょうか?
小川:今回のグランベリーパークの運営については、過去の様々経験が実は繋がっています。たまプラーザでやって良かったこと、それを二子玉川で生かして、また、二子玉川で試したことで良かった事例は南町田で生かしています。私というよりは、東急として開発するときには過去の良かった点や課題をしっかり分析してやっていきますので、それがつながって、今の状況があると思います。
山上:経済効果はまだわからない…数値化はまだこれからということですね?
小川:短期的に見るものでもないと思っていますので、当然定量的な収入はあるかもしれませんが、やはり街としての魅力が上がり、結果としてグランベリーパークだけでなく周辺のエリアの価値が上がっていくことによって、われわれの開発意義が評価されるのではないかと思っております。
山上:具体的に町田市の住民税の徴収が上がったとかそういうことなのかなと
小川:それも分かりやすい指標かもしれないですね。
山上:流入人口が増えればそういうところが指標になるのかなと。
小川:そうですね。この開発の効果だけでそれがどこまで増えたのかという検証はなかなか難しいかもしれませんが。
山上:影響は大きいのではないでしょうか?魅力的なところへ人は住むと思いますし、開発前の実績やこれからも不動産の計画があるということで、数値的なところでも今後良い結果が見込めそうですね。
小川:街はつくって終わりではありませんので、これから30年40年どうしていくかという中で、街の魅力を上げるために必要なことに継続的に取り組んでいくことが必要だと思います。
山上:ありがとうございました。

※本文中敬称略

小川=小川卓男様

久家=久家あかね様

山上=山上浩明様

まちライブラリーURL

https://machi-library.org/

少し前に話題となった「未来の年表」という本には 「2024年には全国民の3人に1人が65歳以上に」 「2033年には3戸に1戸が空き家になる」との記載があり、とても驚いた記憶があります。 今回のインタビューのお話にあったように、街づくりには時間がかかるとのことなので、これから、様々な世代が安心して暮らせるような未来のために、南町田のグランベリーパークのような取り組みが広がってほしいなと感じました。 グランベリーパークの商業施設を歩いてみて、小さなお子様を連れているご家族や、ペットと一緒であったり、年配の方のご夫婦など様々な年代の方が楽しそうにくつろいでいる姿はとても印象的でした。 休憩場所も多く、公園への景色は開放的で、子供と一緒に出掛けたい場所でした。 コロナの影響でニューノーマルな働き方が求められています。 テレワークを導入する企業も多く、都心ではない場所での生活や仕事が当たり前になっていく中で、南町田グランベリーパークは新しい価値観を感じさせてくれる街になっているのではないかと思いました。

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