今日の古木#9「屋根の造りが分かる? 寄棟造りの梁」
今日の古木#9「屋根の造りが分かる? 寄棟造りの梁」
山翠舎大町倉庫にあるたくさんの古木たち。そんな中から、また新たな住居や店舗などに活躍の場に移そうと今か今かと待ちわびている古木たちを『今日の古木』と題し、1本ずつ紹介していきます。第9回は、見ただけで当時の屋根の形が分かる、寄棟造りの梁のポイントに着目!
目次
樹種
今日の古木の樹種は「ナラ」です。
表面がだいぶススやホコリまみれで分かりにくいかとは思いますが、ナラです。笑
ナラの特徴などについては以前の記事「今日の古木#5」にて紹介しておりますので、
まだ読んでないよ!!!!!という方は、そちらをご覧ください!
寸法
太さ 210Φ
長さ 5100
原産地
原産地は、長野県飯山市にある富倉という地域です。
この「富倉」という地名、グルメな方でしたら、ひょっとすると知っている方もおるのでは?
飯山市の山奥にある、小さな里・集落でして、「幻のそば」とも呼ばれる「富倉そば」が有名です。
この地域には何軒か幻のそば屋さんがあるみたいなのですが、近年は後継者不足などから、県外不出の状態が続いており、現地でしか食べることができないそうです。
そば好きの方、ぜひ一度訪てみてはいかがでしょうか?
部位
これは、梁です。
よく見てみると、上辺に斜めに穴が彫ってあります。
この穴こそ、これまた以前の「今日の古木#6」で紹介した、「叉首」の尖っている部分が収まってくる穴です。
詳しくは、そちらをご覧ください!
どこを見れば当時の屋根の造りがわかる?
それはズバリ、この部分です!
梁のこのカキコミには軒桁が収まってくるのですが、そのカキコミの形が妙です。。
軒桁(のきげた)とは
外周軸組で、棟木や母屋と平行に方向にあって、
小屋梁、垂木を受けて、
屋根荷重を柱に伝える横架材のことをいう。
これを見るからに、この梁は、軒桁と垂直方向には交わっておらず、左右各々45°の角度で交わっています。
ということはこの部分は、建物を上から四角形として見たとき、四隅にくる部分です。
丸で囲んである部分です。
この骨組みの様子から、今回の梁が組まれていた建物の屋根は寄棟造りだったということがわかってくるのです!
寄棟造(よせむねづくり)は、建築物の屋根形式のひとつで、4方向に傾斜する屋根面をもつものをいう。広義では同様の屋根をもつ建物のことを指す。屋根の形式を指す場合には、単に寄棟ということも多い。四注(しちゅう)ともいう。日本では、切妻造に次いで多く用いられている形式である。
こうやって、部材のカキコミなどを見て、どこに使われていてものか、ということだけでなく、間接的に屋根の形までわかってしまうのです。
一般の方にとって、これが役に立つとか立たないとかは置いておいて、
「へえ〜、そうなんだ〜」くらいの気持ちで見て頂けたら、いいかなと。笑
それでは、また次回の古木で!!!