今日の古木#3「日本の伝統構法、構造に効く差鴨居(ケヤキ)」

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今日の古木#3「日本の伝統構法、構造に効く差鴨居(ケヤキ)」

山翠舎大町倉庫にあるたくさんの古木たち。そんな中から、また新たな住居や店舗などに活躍の場に移そうと今か今かと待ちわびている古木を『今日の古木』と題し、1本ずつ紹介していきます。第三回は、継承、残すべき日本の伝統構法について。

樹種

今回は「ケヤキ」です。

ケヤキの特徴はと言いますと、大きく分けて

① 木目がとても綺麗
② 強度が高い
③ 耐朽性がある

以上の3拍子が揃っており、日本の広葉樹材の中では第1番の良材と言われており、構造材にも意匠材にも使われ、用途がとても広いです。

野球に例えるならば、走攻守(投)3拍子揃った、メジャーでも二刀流で大活躍中の大谷選手のような感じですかね。

寸法

寸法は以下の通りです。

W=130
H=300
L=3500

部位

今回このケヤキは古民家の「差鴨居(さしがもい)」と呼ばれる部分です。

襖の上を水平方向に走っている横材です。

真横や下から見ると建具が入る溝が見えますね。

鴨居とは、和室の障子や襖の開口部の上に設けられる、建具分の溝が彫ってある横材のことです。

現代の鴨居は構造的な意味はもっておらず、建具を開け閉めするために取り付けてある、薄い材料にすぎません。これは一般に「薄鴨居」と言います。

それに対して「差鴨居」とは、太い(せいの高い / H寸法の大きい)材を、柱にホゾ差しで組み込むんでいる鴨居のことを言います。伝統構法の建物ではよく使われ、構造材としてしっかり効いているので、現代の鴨居とは別物であります。

鉄骨でしか建造物に大きな開口部を作ることができない、と現代では思われがちですが、そんなことはありません!

きちんと施工された差鴨居なら、耐力壁や筋交いといった補強をしなくても、地震などの横揺れに耐えられる構造なので、壁のない自由な空間を作ることができるのです。

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