巨樹ツアー 第1回「子安神社のスダジイ、電線よ退け」

巨樹ツアー 第1回「子安神社のスダジイ、電線よ退け」

東京通勤圏、千葉県市川市で見つけたトトロ村。その村の御神木ともいうべきスダジイは、枝にまでうろをあけた、ショーン・コネリーばりの渋い面構え。しかし、そこに不粋な電線野郎が…


東京通勤圏のトトロ村



住宅街を抜けると、ヤバそうな森が見えてきました。

道が吸い込まれていってます。

東京通勤圏にこういう森が現れると、わくわくしませんか?
しますよね。

井の頭公園みたいなオシャレな森ではない、妙な雰囲気。
不動産業的なメリットが少ないのか? 地主が踏ん張っているのか? 宅地開発の対象とならず、今も田舎びたまま残り続ける森…。

そういう森が、千葉県は船橋の住宅街と市川の住宅街に挟まれるようにあります。

今回訪ねるのは、その森の中。そこに目的の巨樹があります。

森に入ると、竹藪があり

梨畑もあります。

森は森でも、竹藪や畑があることから、集落を抱えた森だということがわかります。

こういう、森を抱いて存在する集落のことを「トトロ村」と僕は呼んでいます。

トトロ村には、古民家が多い。そして、必ずといっていいほど「参道が長めの神社」がある。当然、そこでは巨樹率も高い!

東京通勤圏のトトロ村…わくわくしませんか?
しますよね。

巨樹、登場。



県道で森を突っ切って行くと、いきなりです。

これです。千葉県市川市柏井町、子安神社のスダジイ。

しかし、これはひでえ…。巨樹に思いっきりかかってしまっているじゃないか…。

僕がこの巨樹を前にして真っ先に感じたのは、「なんて侮辱的な電線なんだ!」という怒りに近い感情です。
どっちがあとからここに立ったか、という話です。
こういうところにも東電の不粋なやり方を感じるぞ…。

それでも鬱蒼と枝葉を茂らせる巨樹には、ただただ頭が下がります。

いい面構えです。

歳を経るにつれ厚く裂け目が入っていくスダジイの樹皮のさま。
映画「アンタッチャブル」でみせたショーン・コネリーの演技さながらの渋さです。

枝にまでうろがあります。かっこよすぎる。

安産の神様、子安神社への入り口に立っています。

参道を行く



神社はアンタッチャブルな領域なので、木が不用意に伐採されることはありません。そのため巨樹が多い。こういう巨樹のことを「ホーリー型」と僕は呼んでいます。

そして、道の分岐点や、何かの入り口のような場所は、その徴となる木が界隈に住む人たちによって大切に守られているケースが多い。こういう巨樹を、境界の神様の名前にちなんで「シャグジ型」と僕は呼んでいます。

子安神社のスダジイは、ホーリー型とシャグジ型の両方の性格をもった巨樹です。

つまり、ぜったい伐採できないポジショニングなわけです。

しかしこんな鉄棒みたいな、微妙に低い鳥居は初めて見たぞ。床屋模様みたいなシマシマも謎だ。

寄贈品のようです。

森みたいな参道を歩いて行きます。

ぼこぼこといい面構えのスダジイが生えてます。

どうやらここの神社、巨樹林(※)化しているようです。

※巨樹林 … 巨樹が数本で群生していたり、広範囲に生えている状況のこと。

200mほど歩いてようやく拝殿。

鈴も、賽銭箱もない。

手水の柱に「御本殿右へ」の看板が。

「御本殿入口」の看板。

拝殿で拝ませずに本殿にそのまま通してしまう、ハードコア神社。

これはかなりレアケースです。

この感じも、やばくないですか…!?

あらためて、全容を。リスペクト!

子安神社のスダジイ



巨樹度:⭐️⭐️⭐️
幹周:4.2m
樹高:12m
樹齢:250年?
住所:市川市柏井町3-654
アクセス:JR武蔵野線 市川大野駅から京成バス「浜道」下車 約500m

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この記事のライター

新聞記者からカメラマンになって、フリーのデザイナーに。
なぜかこのサイトの編集長も。

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