“古民家の宿 まるがやつ” で改装古民家体験

“古民家の宿 まるがやつ” で改装古民家体験

先日、古民家を活用した観光まちづくりシンポジウムへ参加しました。千葉県大多喜町、城下町として長い歴史と伝統を持つ内陸の町。シンポジウム前に実際に改装された古民家の宿を訪れ、改めて古民家の魅力を体感しました。


千葉県大多喜町に行く

 品川駅からバスで1時間20分。アクアラインと圏央自動車道を突き進むと、のどかな風景が広がっていました。気高い山々が広がるわけではないけれど、思っていた以上に緑は深く、この穏やかな空間がとても居心地がいい。成田空港、ディズニーランド、海。千葉県の印象は少なめな私でしたが、道を進むたびに初めて見る千葉県の風景にワクワクしました。

 到着したのは千葉県大多喜町。房総半島のほぼ中央に位置する千葉県内陸の町です。かつて徳川四天王のひとり、本多忠勝を初代城主とする大多喜城の城下町として栄えた歴史と伝統ある町。基本情報を押さえておくと、人口1万人前後、面積129.9 km²。面積の70%を森林が占めているとか。町には城下町があり、そこには国指定重要文化財となっている古民家が点在し、今もその当時の面影を残しています。周辺には養老渓谷があり、紅葉の季節には言葉を失うほどの風景が広がり見る者を圧倒するとのこと。忘れてはいけないのが鉄道ファンにはたまらない"みすみ鉄道”“小湊鉄道”の終着点があるということ。菜の花、あじさい、もみじとトロッコ電車の共演、その風景をイメージしていただければ、いかに自然豊かでのどかな風景が広がっているかをご理解いただけるのではないでしょうか。

 シンポジウムが始まる前には、古民家を改装した"まるがやつ”に軽食の用意があるとのこと。
嬉しい。ちょうどお昼時間、さっそく向かってみました。

改装古民家 “まるがやつ”

 ナビに入れても住所が出てこない場所でしたが、ひときわ賑わっている古民家を発見。きっとここが"まるがやる"だろう。目の前には電柱のない見渡す限り広がる田園風景、青々とした稲が風になびいてとてもキレイ。深呼吸したくなる、そんな場所に古民家がありました。


 こちらの古民家は株式会社人と古民家が運営する、一棟貸し&体験型古民家宿泊施設。失われつつある古民家を日本文化の継承のために守っていきたい、そんな思いで会社を設立した一級建築士の方が、ここ大多喜町にあった築200年の古民家を改装し、多くの方の故郷になるようにという思いを込めて宿泊施設にしたとのこと。


 とにかく圧倒されるほどの存在感。きちんと手入れがされていてとても美しい、と感じたのが第一印象でした。

さっそく中へ

 ワクワクしながら暖簾をくぐり、中へ入ってみました。
 うわ!すごい梁!


 さすが築200年。天井の梁や板は太くて立派でした。築200年もの間、家を支えてきた年季のようなものを感じます。


 古い梁の傷からは、昔の生活の跡が伺われました。この家にはどんな家族が生活していたのだろうと思いを馳せます。

 室内では既に、おばあちゃんの家に集まった親戚一同というアットホームな雰囲気が。壁も塗り直されており懐かしさが残る畳の部屋でしたが、少しモダンな印象を受けました。開放感のある窓や、広く取られている土間から吹き抜ける風がとても気持ちがいいです。
 
 こちら改装前、実はこんな感じ。


 10年間空き家で誰も跡を取る方がいなかったそう。
 屋根はそのままに、美しく蘇りました。
 
 続いて水回りです。


 キッチンは使い勝手がいいように大きく改装が施されていました。外から土間を通りそのままキッチンへ。広い空間だからこそ実現できる贅沢な間取りです。
 
 改装前の写真がこちら。


 キッチンと土間の場所には床が張られすっかり土間が隠れていたのを、改装では土間空間を再現し、広々とした空間になっています。


 お風呂と洗面所は、まるで旅館に来たような贅沢な造りです。お風呂と洗面所はそれぞれ2箇所づつ設置されていました。

 最後に町で用意してくださっていた手作りのお弁当です。町で採れる筍をふんだんに使っていて、とても美味しかったです。お腹も気持ちもいっぱいになりました。

改装古民家から想うこと

 この体験型宿泊施設 "まるがやつ” は周辺の地域の方々にも協力いただき、農業体験や郷土料理体験などができることも魅力の一つです。地域に根付いた運営をされていました。

 
 古民家は年々その数が減り、それと同時に古民家と共にあった文化も消えつつあるのが現状です。新たに息を吹き返した古民家には、離れてしまった人と人との関係を再び結びつける力があると感じました。誰もが、懐かしさと居心地の良さを感じ、改めて古民家の魅力に気付かせられるそんな体験でした。
 近代の快適さと程よくマッチした、これからの古民家の姿がありました。

参考:シンポジウム式次第

「古民家を活用した観光まちづくりシンポジウム in 大多喜町」

日時:平成29年5月30日(火)
場所:大多喜町中央公民館
共催:千葉銀行、大多喜町、ちばぎん総合研究所
後援:内閣府地方創生推進事務局、観光庁、関東経済産業局、千葉県

講演①  歴史的資源を活用した観光まちづくりの推進について 
講演②  古民家活用の可能性と課題
特別企画 古民家事業者のインタビュー
講演③  地域活性化に向けた古民家など歴史的資源の活用について
講演④  古民家事業の資金調達

 
 シンポジウムでは、おなじみ千葉県のゆるキャラ “チーバくん” と、大多喜町のゆるキャラ “オタッキー” がお出迎え。カメラを向けると一匹(?)と一人(?)、息ぴったりにバッチリポーズを決めてくれました!

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